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考察その18 - ハラワタの中身 その3 - [考察]

(2010年11月14日のmixi日記 より)




【ハラワタの中身 その3】





「ハラワタの中身」考察も今回で最後になります。




1と2のまとめです。


・ヤスが知るはずのない金蔵の過去を知っていたのは、
金蔵の遺言にそのことが書かれていたからではないか。
・ヤスは黄金のあった部屋で何か他のものも見つけたのではないか。
それが遺言という可能性もあるのではないか。
・金蔵の過去の秘密や家族への想いを綴った手記(遺言)を読んだことがきっかけとなり、
メッセージボトルの物語を書く決意がヤスに生まれたのではないか。



補足としましては、
ヤスが読んだのは遺言というよりは、
金蔵の日記、手紙、懺悔の手記、といった感じのものだったのではないかと思っています。










さて、今回考察したいのは碑文です。

注目したのは最後の部分。



 魔女は賢者を讃え、四つの宝を授けるだろう。
 一つは、黄金郷の全ての黄金。
 一つは、全ての死者の魂を蘇らせ。
 一つは、失った愛すらも蘇らせる。
 一つは、魔女を永遠に眠りにつかせよう。

 安らかに眠れ、我が最愛の魔女ベアトリーチェ。





「黄金郷の全ての黄金」というのは、そのまま「黄金」という意味で良いと思います。
しかし、他の3つは何を指しているのでしょうか?







これは、金蔵が作った碑文です。

その金蔵の想いを知っていた源次は、
ヤスにヒントを与え、碑文の謎を解く手助けをします。

ヤスがベアトリーチェのドレスを着て書斎にやって来たときには
金蔵はヤスが自分の子供であることを既に知っていたし、
源次は親子であることを明かす時が来たと考え、ヤスを手伝ったように見えました。





ということは、
金蔵は初めからヤスに碑文を解いてもらう奇跡を望んでいたし、
この碑文は誰よりもヤスのためにあったのではないかという予想ができます。


碑文の「四つの宝」も
ヤスに与えたいがために用意されたものではないのでしょうか。










碑文の「黄金」以外の宝。


それを解く鍵は遺言にあるのではないかと私は思っています。








「一つは、全ての死者の魂を蘇らせ。」

自分のせいで命を失った戦友やイタリア軍、ビーチェや九羽鳥庵ベアト。

彼らに真実の告白を。そして懺悔を。



「一つは、失った愛すらも蘇らせる。」

豪胆な態度でしか接することのできなかった親族。
ただ一人の人として愛することのできなかったビーチェ。
自分の歪んだ愛情のせいで辛い生を強いられた九羽鳥庵ベアト。
自分の過ちのせいで家具としての生を強いられたヤス。

彼らに愛を。そして懺悔を。



「一つは、魔女を永遠に眠りにつかせよう。」

ビーチェの面影を誰かに重ねることはもうやめよう。



「安らかに眠れ、我が最愛の魔女ベアトリーチェ。」

愛の鎖で縛ってきたビーチェに、別れを。




















ヤスにとってみれば、
今更懺悔をされたところで簡単に受け入れられるものではないと思いますし、
昔の秘密を知らされたところでショックしか受けないのではないかと思います。


それでも、
家具としての人生を歩むことになった道程を知る権利がヤスにはありました。


実の父が愛ゆえに罪を犯したことも
その罪に永遠に悩まされていたことも
許すことはできずとも理解しようとしたのではないかと思います。














金蔵にとっては
ヤスに理解してもらうことが一番嬉しいことのはずです。



どうかヤスに父の心が届いていることを願います。





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