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考察その11 - EP6の主題について - [考察]

(2010年2月26日のmixi日記 より)



【EP6の主題について】



EP6といえば、一番前面に出てきているのは
やはり「恋人達の決闘」でしょう。



特に、譲治と紗音、朱志香と嘉音が今まで以上にクローズアップされ、
なぜ、それぞれの世界が完成されている恋人達が争わなければならないのかということが、
読者に強く訴えかけられてきています。








なぜ、紗音と嘉音は争わなければならないのでしょうか?

それは、「家具」だから。



なぜ、家具は恋をしてはいけないのでしょうか?

それは、「魂が、一人に満たないから」。







ここで、ゼパルとフルフルの言葉を思い出してみます。

本当に愛し合う二人の身分は関係ないの?
妻を持つ男との恋は許されるの? 夫を持つ女との恋は許されるの?
親との恋は許されるの? 子との恋は許されるの? 恋の許されない身分なんていくらでもある!!


「身分」と二人は言っていますが、
これは、右代宮家の人間と使用人、
というような「身分」の違いを指しているものではないと思われます。



さらに、


人を愛する資格はただ一つ! 一人に満たつ魂を持っていること!!
だから愛し合う二人は世界を生み出せる!!


例えば、妻を持つ男は、もう一人の女を愛する資格を持つと思う?


この言葉から彼らのいう「身分違いの恋は許されない」とは
以下のことを指していると言えるのではないかと考えます。



「一人の人間を全身全霊で愛せない者には、人を愛する資格がない」




紗音も嘉音も全身全霊で譲治と朱志香を愛していない。
だから、愛する資格を得るため、
「魂を一人に満たすため」に闘わなくてはならない。





そして、紗音が勝った後、嘉音は消え、妹ベアトも消える。。

これは、紗音の魂を一人に満たしたことの現れ。



多人数の分かれた魂が一緒になって
紗音一人分の魂になったということも考えられますが、
私は、紗音と嘉音と妹ベアトは元は同じ人間、
さらにいうと、嘉音と妹ベアトは紗音から分かれた存在ではないかと考えています。





特に、妹ベアトに関しては
「なぜ生まれたのか」を「お母様」に問いかけた際に表れた以下のシーンが大きなヒントになっていると思います。


あー、俺ってさ。家庭的な子とか案外苦手なんだよな。
この通り、ガサツな性格だろ?
……レディーファーストとか、女の子の前では礼儀正しくとか、そういうのはさっぱり苦手なんだよな。



「家庭的な子」と言えば紗音。
戦人は自身で「6年前は紗音を意識していた」と語っています。
この言葉は、好きな子=紗音を前にした照れ隠しなのではないでしょうか。


また、この後に続くシーン。


あなたに、彼が望む、黄金の髪を。
あなたに、彼が望む、蒼い瞳を。
あなたに、彼が望む、彼に相応しい性格を。

そして、……私の代わりに恋をしなさい。
そして、許されるなら、彼に恋されなさい。


あなたは今日より、悪戯をするだけの、六軒島の亡霊ではありません。

あなたは今日より、この島の主となりて、彼が約束を果たす日まで帰りを待ち続けるのです。



戦人を愛することを諦めた「お母様」は
戦人に愛し愛され、約束を果たしてくれる日を待つ存在として
妹ベアトを生み出します。


これは、先のシーンで戦人と話していた紗音が
戦人の好みのタイプに合う女性を
六軒島の亡霊として存在していた金髪の美女ベアトリーチェに重ねて生み出したものと考えられます。




嘉音についてはまだ考えがまとまっていませんが、
私は今のところはEP6は紗音=嘉音でしか説明ができません。

嘉音は戦人の好みのタイプに近い朱志香の目を戦人に向けさせないために
紗音が生み出した存在であるという考えはかなりの的を得ているのではないかと思います。


ですが、私は他のEPでは二人は必ずしも同一人物でなくてもよいと思いますし、
また、ゲーム盤でない実際の六軒島には
「嘉音」という人物が存在していた可能性も否定できないのではないかと思っています。
これについては、考えがまとまったら後の考察で書こうと思います。








と、ここまでは、多くの方の考察で語られていることとほぼ同じですので
私なりの観点でこの「決闘」を考えてみたいと思います。









一人の人を全身全霊で愛していなかった人、と聞いて、真っ先にピンときたのは
留弗夫、そして、金蔵でした。


私の以前の考察を読んでくださっている方はご存知だと思いますが、
私は金蔵遺言説という解釈でうみねこの考察を行ってきています。


考察その1
http://usarabi-umineko.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23

考察その2
「金蔵遺言説に至った理由について -その1 ありえない殺人-」
http://usarabi-umineko.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23_2

考察その3
「金蔵遺言説に至った理由について -その2 隠れた主題-」
http://usarabi-umineko.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23_3

考察その4
「金蔵遺言説に至った理由について -その3 隠れた主題EP4・5-」
http://usarabi-umineko.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23_4



ですから、この恋人達の決闘も金蔵からの

「妻を持つ身の自分がベアトリーチェを愛し抜けなかった後悔を伝え、同じ後悔を子孫達にさせないためのメッセージ」

と読むことができるのではないか?と考えました。



また、

考察その7
「金蔵遺言説の矛盾について」
http://usarabi-umineko.blog.so-net.ne.jp/2010-04-24_2

の【推理1】で書かせていただきましたが、
私は、紗音が金蔵の遺言を代筆し、金蔵の死後もそれを書き続け、
遺言に込められた愛を完成に近づけたという可能性も考えています。



ですので、
「紗音が決闘に勝ったことで一人分の魂を満たした」というのは、

紗音が金蔵の遺言に込められた想いを受け止め、
自分の気持ちを分けて人を愛そうとしていたことから決別し、
「譲治を全身全霊で愛する決意を示したもの」


と捉えることができるのではないかと思ったのです。




けれども、EP6のゲームマスターは戦人です。

なので、金蔵から紗音へ想いが受け継がれたということを知らなくては
戦人はこのゲーム盤を作ることができなかったはずなのです。





戦人がゲームマスターになったEP5の裏お茶会。
彼はあの瞬間にその想いの連鎖に気付いたのではないでしょうか。
彼は各EPの処々に秘められた祖父からの最後の言葉、
紗音が自分に対して抱いていた悲しい恋心、
そして、その両方を伝えようとしていたベアトリーチェの真実に気付けなかったことに謝罪したのではないかと思います。





姉ベアト=金蔵の想いが強く顕現された存在

妹ベアト=紗音の想いが強く顕現された存在






この2つが合わさって初めて、
EP5までのベアトリーチェとなるのではないでしょうか。





ゲーム盤も二人の想いが入り混じっていて、
金蔵の領域と紗音の領域を明確に線引きできないのですが、


親族へのメッセージをこめたのが、金蔵

紗音=嘉音と読める仕組みを入れ、
戦人への想いを強くこめたのが、紗音


ではないかと思います。

紗音が金蔵の遺言のメッセージ性だけ残して、
相当部分書きかえてしまっているのかなぁという気はしますが。
もしくは、書きかえたのではなく、金蔵が紗音に遺言を書くことを託したか。
「なんで紗音にそこまで託したのか?」という疑問もありますが、
それは私なりの答えができかけてきています。
これもまた後々の考察で書けたらいいなぁと思います。










私見ですが、、
自分ではない他の人間の想いを完全に理解したり、
完全に同じ想いを共有することなんて
私達人間には不可能ではないかと思います。


だから、戦人にはEP5までのベアトを蘇らせることができないのではないかと思うのです。


「あの」ベアトには、戦人ではなく、金蔵と紗音の強い想いが宿っていたから。





でも、同じ想いを抱けなくても、
その想いを受け取って、自分の道しるべにすることはできる。
そして、またそれを誰かに伝えることはできる。



金蔵がこめた想いも
紗音がこめた想いも
全部自分で受け止めた上で
戦人はEP6のゲーム盤とEP6のベアトリーチェを生み出したのではないでしょうか。



そして、そのことは、
EP5までのゲーム盤を完全に再現するよりも
EP5までのベアトを蘇らせるよりも
意味のあることだと思うのです。



なぜなら、それが「伝わった」ということだから。



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